誘いのキス

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誘いのキス

 気まずいまま俺の自宅についた。 「じゃ、今日は俺、このまま帰るよ」 「なんで? 上がって行ってよ」  俺が腕に抱きつき引き止めても剣は。 「信一が危ない目に遭うのだけは許せないから」  と、そのまま帰ろうとする。 「やだ」 「信一!」 「やだったら、やだ」  剣が俺のことをすごく心配してくれるのは分かる。でも剣と会えなくなるのだけは嫌だった。  俺は剣のことを引き寄せると自分の方からキスをした。  舌を入れて剣の舌と絡める、初めて俺からする大人のキス。  拙い、本当に下手なキスだったと思うけど、剣に俺の気持ちは伝わったようで。  俺の髪を優しく撫でながら、困ったように笑う。 「高校生が色仕掛けなんてヤバいだろ」  そして、俺をお姫様抱っこすると、部屋へと連れていかれた。  ベッドに座らされ、剣が俺のことを見つめて来る。  端整なイケメンすぎる顔立ちはいくら見ても慣れることがなく、心臓に悪い。  てっきりそのまま押し倒されると思ったら、剣が馬鹿丁寧な口調でのたまった。 「信一様、お勉強の時間です」 「へ?」  勉強?  この流れで?  俺は鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていたと思う。  剣はそんな俺を見てクスッと笑う。 「性教育の時間です、信一様」  ……結局ベッドに押し倒されたのだった。  
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