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金色なのか銀色なのか理解出来ない髪の色。
キリッと整えられた細い眉。
長い前髪から覗き込むような仔犬のような瞳。
その瞳に不釣り合いな薄紫のカラーコンタクト。
耳にはたくさんのピアス。
細身の黒の革ジャン、革パンツ。
そして黒のハーフブーツ。
何なのコイツ。バンドマン?!
図書館なんかに何の用があるの?!
完全に、いかにも、イマドキの生意気な若い奴。
他人様の頭にね、そんな大きな固まりのカバンをぶつけておいて、悪びれた様子もないなんて。
「あのさぁ、あんたさっきからポカンと立ってるけど、先ず真っ先に言わないといけない言葉があるでしょう?!」
「え?…なんすか?」
「なんすか?じゃなくて。大丈夫ですか?お怪我はないですか?でしょ?!」
私は頬を大きく膨らます。
「あぁ〜…大丈夫っすか?怪我してないっすか?」
すかすか、って…。
言われないと言えないのかよ。
コイツはろくでもない典型的イマドキの奴だ。
全然気持ちすら籠もっていない。
こういう奴には強攻策で脅してやんなきゃ。
「ちょっと、ここに名前と携帯番号を記入してもらえるかしら?」
私は手帳の後を破って、ペンと共に差し出した。
「えっ、なんで…、ちょっと待ってよ」
「いやいや、なんででもヘチマでもない。待ってる場合じゃないの私は。頭を打ってる怪我人なのよ私は。頭が今、とーっても痛いから病院で検査しに行くから、後で病院代請求しないといけないでしょ?私、被害者だもの」
どうだ!
何も言えないだろう!
「チッ…分かりましたよ、書きますよ」
コイツめが、舌打ちするとは、許せない。
私は聞き逃してないよ!!
若者は困った顔ではなく、迷惑そうな顔をしながら、携帯番号と名前を書く。
「えっと、これ俺の番号ね。平日日中は学校があるから絶対出れないからね。たぶん夜の23時頃なら家に居るはずだからさ、何かあったらそこで電話して」
「うん、分かったぁ〜」
いやいや、うん分かったぁ〜だなんて、私は彼女じゃないんだから。
しっ…しまった!
迂闊だった、気軽に返事をしてしまった。
「それから、これが俺の名前ね。これ、この漢字読める?フリガナふっとく?」
むむむっ、コイツ私にタメ口。
しかもそんな所だけ、やたら気を遣って紳士ぶるだなんて。
「ちゃんと読めます!!」
私は馬鹿にされてる?
メモを返されて、奪いちぎるように私はもぎ取った。
「じゃあね!永咲奏君!!」
ふーんだ!!
すると、
「はぁ〜、どぉ〜も、お気を付けてぇ〜」
お前が言うな!
気を付けるのはお前だろうが!
もぉやだ、ムカツク。
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