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出逢い
あなたは、遥か遠い昔の記憶が現代の世で何かの偶然をきっかけに、再びあなたの身体と心に宿った事はありませんか?
この人、知ってるかもしれない。
この人、どこかで会った事があるかもしれない。
この声、この話、聞いた事が有るよう気がする。
この場面、この感情、知っているような気がする。
私は、その時、その頃、ある人と不思議な体験をしました。
私の中に潜んでいた前世の私が、切なさと恋しさ、苦しさや愛しさが溢れ出し、私の身体と心を借りて、再び蘇ったのです。
有り得ないような話ですが、実際にあった夢のような恋の話。
「ちょっと!!あんた!!起きなさいっての!!」
揺さぶられたような気もしたのだが、
「仕事行くんじゃないの?!」
大きな声でドカッ!
「痛いってーの!!」
さすがに足蹴りされて私も怒鳴って起きた。
「時計見てごらんよ!遅刻するよ!!」
母親が寝ていた私に吐き捨てた。
あくびをしながら時計を見ると、
「え?…えっと、えぇ?!えぇーー!!」
二度寝が気持ち良過ぎて、完全に熟睡していたようだ。自分の予想よりも遥かに一時間オーバーに寝坊してしまった。
「ヤバいよ、ヤバいよ、ヤバいってマジで」
独り言をブツくさ言いながら、慌てて出掛ける準備をする。
しかしながら、この母親の私へのぞんざいな扱い。
年齢を増す事に酷い。
足蹴りしてくるとは、許すまじき虐待行為。
「足グセ悪いんだから、ったく」
「はぁ?!」
そして声が大きい。
「三十路の女が、いつまでも親に起こして貰うだなんて、本当にどうしようもない女だよ」
慌てる私に何度も捨てセリフを吐き続ける母親。
「三十路のくせに、自分の管理も出来ないだなんて、これじゃ嫁にはいけないね」
ポンポン、ポンポン、捨てセリフ。
「まぁね、あんたの子どもだから仕方ないよ」
と、私も吐き捨てながら準備をして、さっさと仕事へ行く。
三十路、三十路って。
いい加減にしろや。
まだ私はかろうじて、29歳だっての。
行き遅れみたいに言われるのが、とても嫌だ。
現代では三十代だろうが四十代だろうが五十代だろうが、独身で働く女性ばかりで、それが当たり前。
そんな太古の昔とは時代が違うわ。
しかしながら、友達や同級生で聞く話は、だいたい結婚した、子どもが産まれただ。
いやいや、焦る気持ちは年々薄れていくのが現状。
それに私はまだまだ恋愛をしたいし、自分の時間も大切にしたい、何より自由に生きたい。
現状維持、上等よ。
だからこのままでいい。
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