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「で? 相手は誰なの!? この学校?」
「同じクラスか? 水莉が惚れるようなそんな奴、このクラスにいたか?」
勝手に話を進める二人に、水莉は「違うってば!」と真っ赤になって否定する。
すると、イッちゃんが「あっ!」と指を鳴らす。
「わかった! 修学旅行で、雨宿りしていた水莉が話していた男の子だ!」
「う、碓水くんは関係ないって!!」
図星を言い当てられて、水莉は慌てたのだった。
修学旅行中に、イッちゃんがそこの土産物屋でしか売っていない恋愛成就のお守りを欲しがった。
たまたま、他の女子がホテルで見せびらかしていたのを見て欲しくなったらしい。
その次の日の自由行動時間中に、三人でお守りを買いに土産物屋に向かったが、雨女の水莉が一緒だったからか、途中で大雨が降ってきたのだった。
傘を持っていなかった水莉は、近くのお店の軒先で雨宿りをする事になり、二人には先に土産物屋に向かって貰ったのだった。
雨宿りをしていた時、同じように傘を持っていなかった近所に住んでいると思しき男子高校も雨宿りにやってきたのだった。
その男子こそが、碓水氷太だった。
どうやら、碓水も雨男らしく、雨が降る度に周囲から責められていたらしい。
ーー別に好きで雨女や雨男に生まれた訳じゃないのにね。
水に関する名前をつけられたから雨女や雨男になったのか、たまたま毎回雨が降るのか、それは本人にもわからない。
けれども、そんな雨女な自分を受け入れて、自分らしく生きていきたい。
碓水と話して、そう思ったのだった。
「へぇ〜。あの時の男子、碓水って名前なんだ?」
意味ありげにエリが笑う。水莉が「あっ……」と思った時にはイッちゃんもニヤニヤ笑い始めた。
「あの時の男の子の名前、ずっと教えてくれなかったもんね〜」
「ねぇ〜」、「そうだね」と二人がニヤニヤ笑っている姿を見ていると、だんだん恥ずかしくなってきた。
「もう! 二人とも!!」
そんな、三人にクラスメートが「次、移動教室だけど行かないの〜?」と声を掛けてくる。
「あっ! そうだった! ほら二人とも。遅れるよ」
「あっ、待って待って! ほら、行くよ。水莉!」
「あっ! うん、待って!」
水莉は慌てて教科書や筆記用具を取り出すと、二人の後を追いかけたのだった。
それから放課後になって、部活動に行くエリを見送ると、イッちゃんと一緒に帰る事にする。
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