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「リュウ、ごめん。やっぱりあたし思い出せないや。でもね、この前会ったときは超嫌なやつって思ったんだけど、今はなんか、安心する。ぽかぽかって胸の内側があったかくなるの」
「……芽衣、俺のこと好き?」
「わかんない。嫌いじゃないよ」
そう答えると、リュウは泣きそうな顔で笑った。
「あーあ。芽衣の記憶、消さなきゃよかった」
「記憶? リュウ、それってどういうこと?」
「……小さい頃の芽衣はさ、俺のこと超大好きだったんだ。可愛かったよ。でも、あんまりにも俺のことしか見えてないみたいだから困ったんだ。……俺は神様として、芽衣に人間らしい普通の幸せを掴んでもらいたかった。だから、俺に関する記憶を消した」
リュウの思いがけない告白に頭が混乱した。幼い頃のあたしとリュウの間にどんな思い出があったのかは、今となってはもうわからない。だけど、きっとリュウの話から想像するに、本当に大好きだったんだと思う。それなのに、神様だからってあたしの記憶を操作してしまうなんて。人の感情をなんだと思っているんだろう。
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