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「えっ、誰? っていうかなんであたしの名前知ってるの?」
「俺が白蛇様だよ。神様なんだからお詣りにくる人間の名前くらい知ってる」
全くもって神様らしくない。こんなちゃらちゃらした見た目の人が神様だなんて、がっかりしちゃう。野田さんのほうがよっぽど知的で素敵だわ。
「へえ、今回の想い人は野田さんって言うんだ?」
「え? またあたし声に出してた?」
「いや、俺は人の心の中が読めるから。……ふうん。その野田って男もやめておいたほうがいい。あっちこっちつまみ食いするようなちゃらちゃらした男だよ」
心の中を読めると言われ戸惑う。そんなの、全部筒抜けってことじゃないか。それにしたって、野田さんのことそんなふうに言うなんてひどい。会ったこともないくせに。何も知らないくせに。
「だーかーらー、それも筒抜けだって。たしかに野田って男には会ったことはないけど、そいつが今何しているのか俺にはわかるよ。教えてやろうか」
にやりと笑って近づいてきた白蛇様が少し怖くて、後ずさりする。
「結構です!」
大きな声でそう言って、逃げるように神社を後にした。神様ってあんな嫌なやつだったんだ。そりゃ意地悪ばっかりしてくるのも頷ける。もう、絶対あの神社には行かない。
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