私がアイドルであるために

12/15
前へ
/15ページ
次へ
*  引退を告知すると、三人はとても残念そうに私にメッセージをくれた。  だけど皆が、私の次の道を応援してくれた。本当は、ずっと皆の前で歌っていたかった。皆と交流をしていたかった。事務所の方針で、引退後もファンと個人的な交流は禁止になっているのを知ったときは途方に暮れた。だけど、最後まで私は三人のアイドルでいたかったから。涙をこらえて、最後の舞台に上がることにした。  涙で視界が最悪の中、私はリズムに乗る。いつも以上に盛り上がる三人に笑顔を振りまいて、喉がかれるまで歌った。社長も、最後だからと多めに時間を作ってくれた。次第に皆で大合唱が始まって。数少ない持ち歌を、何度も何度も歌った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加