私がアイドルであるために

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「眉村さんってアイドルなんだって――」 「あー地下アイドルでしょ? どんだけ承認欲求強いんだか」 「恥ずかしくないのかな?」  そんな声もあちこちから聞こえたけど、気にならなかった。私は、もう独りじゃないから。中には、そんな陰口を言わない子も居た。だから、私はそういう子には勇気を出して声をかけるようにした。胃袋が口から飛び出しそうだった。 「あの」  声をかけるたびに震えそうになった。 「なんですか?」  そのたびに思い出した。皆の笑顔を。 「私、眉村梓って言います! 一緒にご飯食べよう!」  次第に、友達もまばらにできた。浅い関係なのは誰が見ても明らかだったけど、それだけで大きな進歩だった。人生のすべてが私にとってステージに思えた。そう、私は、はじめから人生の主役だったのだ。それに気づいたのは、あの小さな舞台のおかげだ。自分が勇気を出して、踊って、アピールしたことで手に入れた小さなお城……。
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