私がアイドルであるために

9/15
前へ
/15ページ
次へ
(アイドルになってよかった……)  あの頃の惨めな私が居たからこそ、今があるのだろう。  そう思うと今までの苦労に感謝した。馬鹿かもしれない。すべてが順調で、すべてが今のための道筋だったような感覚に襲われた。 「調子に乗ってない? あんた」 「え?」  そう、ほかのアイドルに事務所で、舌打ちされながら言われたのはその頃で。  確か、挨拶しかしたことない女の子だった。すぐに、どんな外見だったかも忘れて、私はまたアイドル活動を頑張った。がむしゃらだった。時間は秒で過ぎていった。  だけど、事件は起こった。私の過去の写真がネットにばらまかれたの だ。 「あずぴょん、高校デビュー-の田舎のデブスのお知らせ……?」  そんなまとめを見て力が抜けた。そう、私は高校に入る前に、東京に行ける都市って必死でダイエットした元デブで。髪型や服装は当時も今と替わらなかったけれど、あの頃はただそれを身につけるだけの醜い豚だった。きっとあのアイドルの子か誰かが情報を見つけて公開したのだろう。 「どうしよう……炎上してる。最悪の事態にならないといいけど……」  だけど私の悪い予感は、当たってしまうことになる。 
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加