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その村に赤い雨が降った。
僕が10歳になった年に初めてだ。
その血にも似た雨が、僕の背中を後押ししてくれる様だった。そう、僕の復讐を——。
***
父には田舎暮らしをしたいという夢があった。その為に必死に働いていた様なものだ。目標金額まで貯金が貯まると、ネットで調べた一番イメージにあった村へと引っ越しをした。
——美しい自然と美しい海、美味しい海産物が有名な村。
そこはとんでもない村だった。
確かに海や山々はきれいだが、老人ばかりの村。
船から降り立つとそのどんよりした空気に吐き気がし、不気味な雰囲気にむせ返る。父も母もイメージとは違う村に、ただ溜め息だけが漏れた。父は医者をしていたので、村人達の表情や言動がおかしいことにすぐ気付いた。
「何かおかしい村だな」
「村人たちも何かおかしいわね…」
父はこの村の古い空き家を借りて、この村で開院をしようと思っていたのだ。でも何かがおかしい、何かが怪しいと思っていた。村人たちが何かを隠している様だと…。
次の朝、父と母は村長の後を着いて行く事にした。
山の奥へと入っていくのを息を呑みながら着いていく。
数分歩いた後、開かれた場所には沢山のビニールハウスが並んでいてその一つに村長は入って行った。
その中に入ると…とんでもない光景を目にする。
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