赤い雨

1/4
前へ
/4ページ
次へ
その村に赤い雨が降った。 僕が10歳になった年に初めてだ。 その血にも似た雨が、僕の背中を後押ししてくれる様だった。そう、僕の復讐を——。 *** 父には田舎暮らしをしたいという夢があった。その為に必死に働いていた様なものだ。目標金額まで貯金が貯まると、ネットで調べた一番イメージにあった村へと引っ越しをした。 ——美しい自然と美しい海、美味しい海産物が有名な村。 そこはとんでもない村だった。 確かに海や山々はきれいだが、老人ばかりの村。 船から降り立つとそのどんよりした空気に吐き気がし、不気味な雰囲気にむせ返る。父も母もイメージとは違う村に、ただ溜め息だけが漏れた。父は医者をしていたので、村人達の表情や言動がおかしいことにすぐ気付いた。 「何かおかしい村だな」 「村人たちも何かおかしいわね…」 父はこの村の古い空き家を借りて、この村で開院をしようと思っていたのだ。でも何かがおかしい、何かが怪しいと思っていた。村人たちが何かを隠している様だと…。 次の朝、父と母は村長の後を着いて行く事にした。 山の奥へと入っていくのを息を呑みながら着いていく。 数分歩いた後、開かれた場所には沢山のビニールハウスが並んでいてその一つに村長は入って行った。 その中に入ると…とんでもない光景を目にする。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加