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「返事は?偲」
見れば分かるだろ。云いたくても次から次へと溢れ出す涙と、真っ白な花たちが邪魔して、言葉にならない。
僕の吐き出した花びらを指先で摘まんで躊躇いもせず、ちゅっと口づけをしてみせると、綺麗な花だね、と笑って
「お願いだから、うん、って云って」
って泣きそうな顔で笑うから、僕はもういっぱいいっぱいで、頷くしか出来なくて、何度も頭を縦に振ってそれを見てアオイが本当に幸せそうに笑って、
「病める時も健やかなる時も、生涯ただ偲だけを愛することを誓います」
誓いの口づけをした二人の口唇から、
永遠の愛の証が溢れた。
白銀の百合。
運命の相手に出逢えた時だけに咲く花。
大輪の女王然とした張りのある花びらが纏う馥郁たる馨りは、僕らを包んで二度と離れないように運命を結びつける。
「愛してるよ、僕の運命のひと」
愛にまつわる全ての感情を凝縮した眼差しが僕だけに向けられて、心が解放されるのを感じた。
もう、いいのか。もう、好きって伝えてもいいのか。
「好き、だよ。…僕の運命のひと」
好きだよ、アオイ。好きすぎて、死んじゃうくらい、お前のことが好きだよ。
そう云うと、嬉しそうに幸せそうに抱き締めてくれて、何だよ最初からこうすれば良かったんだ、ってバカなことに気づいた。遠回りし過ぎたね、僕たち。
目があえば微笑んで、好きだよって息を吸うくらい当たり前に伝えて、抱き締めて、笑いあって、時には泣いたりして、どんな時も手を繋いで一緒に。死が二人を別つまで、たとえ死が二人を引き離しても永遠に、
「愛してるよ、あさひ」
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