4808人が本棚に入れています
本棚に追加
【ピピピピッ……】
目覚まし時計の音で目を覚まし、ゆっくりと起き上がる。緊張で寝付けないかと心配したけれど、疲れてたこともありぐっすりと眠ってしまっていた。
私はパジャマを脱ぐと用意していた動きやすい服に着替えてキッチンへ。二人分の朝食くらいは用意しようと思って、冷蔵庫を開けると中にはきちんと食材が並べて用意されていた。
和食、洋食……匡介さんの好みを私は知らない。私は無難にパンを焼きオムレツやサラダを作る事にした。匡介さんは好き嫌いが少なそうな感じがするし、大丈夫でしょう。
朝食の準備が終わって、匡介さんの部屋をノックしても返事はない。まさか意外と彼は寝起きが悪かったりとか……? 不思議に思ってそっとドアを開けると鍵はかけていなかったようで、そのまま扉が開いた。
「……え、匡介さん?」
室内に匡介さんの姿はなく、寝具も整えられている。もしかして昨日、彼はここで休んでいないのかもしれない。だけど、いったいどこへ?
キョロキョロとあちこちを見て回るけれど、やはり匡介さんはどこにもいない。
「数日は仕事も休みだと言っていたのに……」
まさか結婚してすぐに新居に一人にされるとは思っていなかった。休みの間に契約結婚とはいえ少しくらいはお互いの事を知るために時間を使えるのだと思っていたのだから。
でも、現実に迎えた契約結婚の朝はそう甘くはなかった。朝食を作っても一緒に食べることも出来ないなんて。
最初のコメントを投稿しよう!