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「ハーブティーです、温かな飲み物でリラックス出来るといいんですが」
そう言って月菜さんは素敵な香りのお茶とお菓子を用意してくれた。私と匡介さんは並んで座って柚瑠木さんと月菜さんが仲睦まじく話している様子を眺めていた。
……私も本当はこういう風に匡介さんとなりたかったのかもしれない。同じ契約結婚でも私たちの距離は縮まる事は無かった、きっとこれから先も。
「こんな夜中にすまなかった、だが……」
「分かってます、私達は何時でも大丈夫なように準備していましたし。約束通り私と柚瑠木さんで杏凛さんの事はしっかりサポートさせて頂きます」
サポート? 私の事を月菜さんと柚瑠木さんが? いったい何の話か分からず、匡介さんを見上げる。彼はいったい私の何を月菜さん達に頼んだというの?
「ああ、無理な頼みをしてすまない。だが杏凛を任せられるのはもう君たちくらいしか……」
「ちょっと待ってください、匡介さん! これはいったい何の話なんですか?」
何かがおかしい、そう思ってよく考えた。匡介さんは私に実家に帰るかを聞いてきたし、入院したいかとも問われた。断って連れて来られたのはここ、そしてあの大きなスーツケース。
「今夜から杏凛にはこの家で暮らしてもらう、君はしばらくあの家や俺から離れた方が良い」
「なっ……!」
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