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「え? 今から鵜方先生の病院へ?」
「ええ。匡介さんから鵜方先生の診察の予約をしたので、杏凛さんを連れて行って欲しいと」
深夜に月菜さんの家に連れて来られて、一晩中彼女の腕の中で泣いて。朝方になって用意された部屋のベッドで眠ってしまった。不思議なことに悪夢には魘されずにぐっすりと眠ることが出来たのだけど。
昼過ぎに起きて月菜さんが作ってくれた食事を頂き、泣きすぎて腫れた瞳を温めていた。そんな時に月菜さんから鵜方先生の診察についてそう話されて。
「そう、でも今は鵜方先生と何を話せばいいのか……」
鵜方先生に話さなければいけない事は沢山ある、でも気が進まない。その理由は匡介さんとの結婚が終わるかもしれないから。
もし話を聞いた鵜方先生は反対するだろうか、それとも……
「私もついて行ってもいいですか? 杏凛さんが不安なら、診察の間も私が傍にいますから」
「月菜さん……本当に? それじゃあ、お願いしてもいいかしら」
普段は一人で診察を受けていたが、時々匡介さんが付いて来てくれた。今は一人になるのがとても心細い、だから月菜さんの言葉に素直に甘えることにした。
そんな私に月菜さんは「任せてください!」とやる気満々でその様子がちょっと可愛かったけれど。
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