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「見抜け!見抜くんだよ!それがお前の仕事だろ!」
上司の三枝良樹に叱咤された。
私は某チェーンストアーの採用担当、麻木頼子。採用担当と言っても新卒者社員ではなく、パート、アルバイトの担当。
三枝はその私に就職難の中、給料が良いと言われるうちのスーパーにあの手この手で面接に挑んで来るつわ者達の潜在する物を見抜けと叱咤する。見た目は悪くないが何せ口が悪い。
「ったく、採用しても直ぐ辞めるか能力不足、最近そんなんばかりだろ!間口をしっかりするんだよ!」
三枝のお小言を聞いても私は返す言葉も無い。ここの数ヶ月離職率が上がっている。各売り場から人手不足だ早く人を入れてくれと急かされる一方、上司の三枝は私の見抜く力不足に苛立っている。そんな板挟みの中、冷静に判断出来ない日々が続いていた。
落ち着け!落ち着くんだ!自分…。
言い聞かして今日の面接者を呼び込む。
「どうぞお入り下さい!」
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