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「そのつもりです」
アルギニオさんに聞いた話によれば、有り難いことに寮にいる間の食事は食堂で摂れるらしい。
「ユウキ様はどうなさるのですか?」
マルセーヌ様がそう話を振る。
「ボクはイストレア領に。ずっと王都にいたのですが、本来イストレア領に転生をしたので。領主様もいろいろ用意してくれているみたいですし」
クリーム色の髪をしたメイスター様が、にやりと不敵な笑みを見せている。ユウキ様を放さない、そう取れる表情だ。
「でも、ボクも剣舞会を観戦してみたいな。どんな剣士がいるのか興味があるし」
「では、ユーディー様と行ってこられては」
赤髪のマードリック様の言葉にユーディー様がピクリと背筋を伸ばすのが目に入った。
「わわ、わたくしはヴァーリアル領のことは詳しくないので、一緒に行っても楽しくないかと」
「剣舞会を観戦するだけなら、別に詳しくなくても大丈夫だろう」
「し、しかし」
ユーディー様がこちらを垣間見るようにチラチラと目を配らせてくる。
剣舞会の観戦は剣術に興味がないと観ていても……彼女はそう困っていると受け取れた。
そこでエルゼ女史が教室に現れた。
今日の授業は魔木について行われる。
魔木も魔獣も人と一緒で魔力を持って生まれる。
魔木の場合、種が魔力を持つ。それが魔石の元になるようだ。種の皮をむき干すと魔石になると説明される。
ちなみに魔力を持った獣は、数か月経つと頭のどこかに角が生えてくる。
魔力を持つ種を見分けるには、夜になると一晩光るようだ。いつ光るのかはわからないため採取が難しい。その兆候が頻繁に起こるのは秋の季節だと言う。
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