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そして、その魔力を持った種を求めて魔獣が魔木に集まるのだ。魔獣は魔木の種を食べると魔力の硬度が上がると言われている。
と、そこでユウキ様が手を挙げた。
「人がその種を食べるとどうなるのですか? 人は同じ動物ですよね」
エルゼ女史はチョークを置いて教壇に手を突いた。
「まだそのことに関してはわかっていないが、人には、なにも変化が起こらないと言われている」
「言われている? 検証はしたのですか?」
「昔にな。記録に残っている。なにも起こらなかったようだ。そこである仮説がいくらかある」
エルゼ女史は腕を組み話を続ける。
動物が魔力を持つと血肉を求める傾向があるらしい。しかし、人は魔力を持っても雑食のままだと言う。それが関係しているのではないのか、と言われている。
もう一つは、神話からの説。
悪魔の心を植え付けられた生物の中で唯一、人は理性を持っていると言う。だから、口にしても反応を起こさないのではと。神の意志に背くという理性が働いて。
この二つが仮説の中で今、最も信憑性が強いのではと言われているようだ。
その話を聞いてユウキ様は頷いて納得した。
貴族様たちは、どうやら知っていたようで顔色を一つも変えていない。
でも――僕はメモを取る手を止めて唖然となっていた。
おかしい。なぜなら僕は、人が魔力の種を食べると変化を起こすことを知っているからだ。だって――
そう。二年前。村を襲い、じいちゃんとばあちゃんを殺したのは『魔人』といわれる魔力のある種を食べた人だったのだから。
そのことを発言しようとしたが――
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