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最後の運動会
空には雲ひとつない。最高の運動会日和。お約束のように校庭には万国旗がはためく。
まさか中学になってもこんな旗が飾られることはないだろう。運動会という名前も違うと思う。だから今日が最後の運動会だ。
万国旗の間を抜けて差し込む日射しの向こう、トラックの中央あたりで陽菜はさっきから忙しそうに走り回っている。石灰で消えかけた線を引いたり、低学年の手をとってスタートラインに並ばせたり。
「体育委員長として一年で一番忙しい日」
朝、そう言って一時間も早く学校に来た。
「ソラは早く行かなくてもいいよ」
って言った陽菜に、
「児童会役員だから」
と、適当な嘘をついて僕もいつものように一緒に登校したんだ。
陽菜は相変わらず手提げカバンをグルングルン回しながら、
「今日、頑張ろうね」
と、ニコリと笑った。
最後の学年で陽菜と同じクラスになれたことは最高のハッピー。身長も陽菜より少しだけ高くなった。成績はまだ敵わないけれど。
陽菜は相変わらず、テストはクラスで一番だし歌も上手い。その上運動神経もバツグンでクラスの人気者だ。
体育委員長になるときも、全員から推薦されたってもう一人の体育委員の長田が言ってた。もちろん今日のハイライト、クラスリレーの選手でもある。僕は惜しいところで選ばれなかった。だから目の前のトラックを走り抜ける陽菜を全力で応援する予定。
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