願いの代償

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 次の日。俺は登校してきたAを見て驚いた。  肩まであった髪が、ばっさりと切られていたのだ。ベリーショートってやつかな。  当然みんなびっくりして、また質問攻め。 「失恋でもしたの?」  なんて聞いたりして、けっこうやかましかった。  騒々しさに耳を塞ぎたくなるような思いだったが、ざわめきの中をすり抜けるようにして、Aの声がやけにはっきりと聞こえてきた。 「神様へのお礼にね、捧げたの。お願いを聞いてくれたから」  それを聞いて、周りが静まりかえる。波が引いていくように、Aを囲んでいた女子たちが離れていった。  俺はなんだか、聞いてはいけないものを聞いてしまった気がした。
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