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「ねぇ、今のところ、もう1回弾いてほしいんだけど・・・いいかな?」
優しい声だった。私の好きな声・・・話すトーンは男子にしたらやや高めだけど、強くなくて優しい、寄り添うような声・・・。
「うん。」
と答えた言葉の先にあったのは綺麗な横顔だった。私の時間は一瞬止まる。
「ごめん。もう1回いいかな?」
再度お願いされて我に返り、少しだけ焦った。
「あ、うん、ごめん。弾くね。」
キーボードを弾き直す私に、
「もう一回いい?」
と、彼はなぜか何度も私にそう言った。何度か繰り返した私もさすがに『もしかして私、からかわれてるのかな?』などと思い始めた時、彼の隣にいたクラスメートの一人が彼に言った。
「ダイチ、しつこいって。もういい加減ええやろ。」
そう言われた彼は少し不満げな顔を見せて黙り、窓の外に目を移した。それから彼は雑談をしているクラスメートを横目に、少し間を置いてから私にそっと訊いた。
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