第1章 アオハル

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 そんな中、物理の単元テストがあってクラスの8割が再テストになった。中間テストが終わっても、相変わらず小さなテストは毎日のように襲ってくる。入学から日が経つにつれて、多くの新入生はハイペースな学校生活に疲れ、慣れも加わって確かに緩み始めた頃に違いはなかった。担任は再テストを受ける人数の多さに驚いて、朝のホームルームで嘆きと怒りの言葉を容赦無く私たちに投下した。みんなさらに落胆した。 「テスト前に余計に滅入るよな。」 「怒られてもな。」 という誰かの言葉が耳に入ってきた。私は理数系が得意だからこのテストをクリア出来たけれど、みんなお互いに忙しいのも努力しているのも知っているから、誰もがそんな言葉に大いに同調もした。でもここは伝統ある進学校だから反旗を掲げる者は誰もいない。  朝のホームルームの後の教室はいつもより重い空気に支配されている。お喋りの声もなく、早速物理の教科書を開いている者がほとんどだった。いつもと違うお昼休みの静まり返った教室はみんなが再テストの勉強をしている為だった。
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