第1章 アオハル

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 夏休みには毎日のように課外授業が実施されたが、私は苦手科目の古典と英語に絞って参加をした。その後は友達と図書館にも行った。夏休みの課題は終わりが見えず悪戦苦闘の40日だった。そして何度か校庭で走っている彼の姿を見かけたが、話すことは一度もなく、遠くから見ているだけの40日だった。  長くて短い夏休みが終わり、二学期が始まった。翌日に行われた夏休み明けテストが終わってからは散散だったと余韻に浸っている暇もなく、授業はハイスピードで進んでいった。『1日に一体どんだけ教科書進むんだよ!』という汚い言葉を吐きたくなってしまう。そしてまだまだ暑さは弱まることなく、下敷きで仰ぐ日々が続いている。『授業中に仰ぐな』と言われても集中力なんてあったものではない。でも待ちに待った文化祭がもうすぐやってくるのだからと、自分を鼓舞したりもする。すでに話し合いは始まり、お店を出すことも決まった。そして何よりもクラスでお店をやるのだから彼と話すチャンスはきっとある、と期待に胸を膨らませている。ずっとその日だけを楽しみにして、目紛しい日々を進学校の生徒らしくこなした。『文化祭は恋の始まり』と私の中で位置付けられた日が間違いなくもうすぐやって来る。
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