第1章 アオハル

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 でも実際、当日の私たちのお店は当番制で、当番時間も違っていて、客の対応にも追われ話す機会など見つけられなくて、それどころか目で追うことすらできていない状態のまま文化祭は終わり、すでに片付けが始まっている。この時になって、自分の足が棒のようになっていることに気が付いた。巨大な迷路のような校舎内を燥いで歩き回ったせいだろう。  そしてみんなが時間までに終わらせようとバタバタしている最中に、片付けが終わる頃になってやっとチャンスは訪れた。片付けに出払って閑散とした教室にはダイチくんを含む男子3人と、私を含む女子2人という状況だ。私はこの時を待っていたのだからと勇気を振り絞って、教室の後ろで戯れている男子3人のところへ歩み寄って訊いた。 「ダイチくん、写真撮っていい?」 思いも寄らない私の言葉に、彼からスッと笑顔が消えて、周囲の空気も固まった。 「別にいいけど・・・えっ?何で?」 と、少し強めの語気で言葉が返ってきた。こんな二人のやり取りに驚きを隠せない周囲の男子二人も固まっていて、その二人の視線は真っ直ぐとこちらに向けられている。
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