第1章 アオハル

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 中学3年の秋、受験や卒業が目の前に見えてきた頃、仲良くしていた友達の一人から言われたことがある。彼女はその頃一番仲良くしていたおませな子で、女子の私からみてもどこか中学生らしくない色気のある魅力的な子だった。雨上がり、二人して3階のベランダで制服をらさないようにしながら受験や将来の話をし、そして好きな人の話をする。岐路に立つ私たちにとっては、ただただ遠くの景色に未来を感じながら、夢を抱き理想を掲げる大事な時間である。 「アキの考え方すごく好き。私だったら絶対付き合いたいと思うよ。惚れる。彼氏にしたいってマジで思うもん。」 「えぇー!彼氏?そっち?」 「いやいや、どっちでも。特定の人と付き合わなければ、アキ、絶対モテるのに。やっぱり付き合うの?」 「うん。別にモテたくはないから。」 「また、そういう考えが()いよね。」 「・・・。」 「なんかもったいない!ここから叫びたいよ『アキはいい女だって!』」 「何それ。」 二人で笑うと、タイミング良く昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
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