第1章 アオハル

9/31
前へ
/81ページ
次へ
 また、好きではない人と噂されくっつけられそうになるという事も多々あって、ある時には仲良くしていた友達から、 「私、ケンのこと好きだから降りてくれない?」 と、言われた事もあった。 「でも私、好きではないよ。」 と言うと、 「アキの方からそういう態度を取ってもらえないかな。」 とお願いされたこともあった。  自分のいないところで火がついて炎上して、結果の処理はこちらに回ってきてしまうことが何度もあって、そういう飛び火のようなことが起こる度に私は面倒に感じていき、いつからか『誰か一人の、誰かの一番でいれば飛び火なんか起こらない』と考えるようになっていった。私の父は大声を荒げる人で闘争心の強い人だったこともあって、あの頃の私は人一倍争いが嫌いで、噂にされることさえも嫌っていた。この頃から天真爛漫に笑うことも人を信じることもなくなっていった。私の『自分以外誰も信じない』という性格はここから始まったともいえる。  だから高校入学と同時に、『一から今までを塗り替えて、キャラも変えてしまおうか』などという気持ちは満更嘘でもなかった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加