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【招待:アーテル・シュヴァルツシルトの場合】
「まさか招待状を持ってくるのが君とはな。来るとトイフェル先生には予告されてはいたが」
「あら、そうでしたか」
招待状が来る前に予告とは珍しい。というより不自然ではないかと思ったが、エンゼルは別に大きな問題とも思っていなかった。それよりも、似たような疑問をおそらく持っているだろうことが気になる。
「私と先生って、あんまり直接話したことないですよね?」
「ああ、まあそうだな。詮索される前に言っておくと、意識的に避けている。君の家は実に付き合うと面倒くさい。それが生徒と教師の関係にも現れているということだろう。あまり良いことではないのは分かっているが理解してほしい」
「ま、それもそうですか。なんというか、両親が面倒ですみません」
これは本心であった。現在、トイフェル家の者は3名、当主たる父、その妻アリエル、一人娘のエンゼル。
この3人の中では、エンゼルが間違いなく一番まともである。これは誰もが認めている。
「素行と言動以外はまとも。あんな母親を持ってよくまあそんな育ち方をしたもんだ」
この評価もまた、エンゼルにとっては聞き飽きたものである。付け加えて、「その二つだけが致命的」となることもあった。
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