Fier:Teuflischerengel

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「……」  魔法の起源。早くまとめてしまえば、それこそが魔女だ。魔法の祖は、第1の魔女。今日お前が呼んだ本に、名前が載っていたな。当然ながら、当時は名付けの文化は定着していなかったから、その名前は後付けということになるが。  「キュプリア」。なぜこうも古代の人間に、女々しい響きの名前を付けるのだろうか。全く理解しかねる、学者の考えというものは。いや、付けたのは学者ではなかったか? まあいい、少しばかり媚びた名前だと思う。 「でも魔女は女の人なんでしょ? 女の子の名前にはいいんじゃないかな。それに違う意味も、たぶんあるよ」  そういうものだろうか。それはさておき、キュプリアという魔女は、魔法の力をその死の間際に世界に広げたのだ。新しい力が世界に突如現れた中、導く者となったのが第2の魔女。「オデュッセイア」という名前だ。  彼女の生きている間は、それはそれは平和的に、魔法というものが成熟していったようだ。次からはそうでもなくなったようだが。カリスマ的な者がトップに立つと、そのカリスマが居なくなってからが問題になるものだ。魔法使いで軍を構成するようにもなった。  話せるのは、ここまで。何か、聞きたいことはあるか? 「……キュプリア──第1の魔女は、誰も魔法が使えない世界で生きていて、どんな気分だったのかな?」  さあ、な。いい気分ではないだろう。孤独は避けがたいことだ……
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