Fünf:Neue Bühne

1/11
前へ
/158ページ
次へ

Fünf:Neue Bühne

【あの夜】 「決起した、あの日。私がふて寝している間、アイリアとストラスが同じように、ベッドの前で二人だけになっていたわね」  ベッドの横に転送されたエンゼルは、今までにないくらい、安らかな様子だった。心の底から、安心しているようだった。 「ああ、そういうことですか」 「まあ、そういうこと。ここで、しっかりと、私達が思っていることを、ちゃんと伝えたいの」  ゆっくりと、近くにあった椅子を持ってきて、アイリアの寝顔を眺めるかのように二人で座る。そして、ストラスから、話を始める。 「私は……役に立てましたか?」 「もちろん。あれが無かったら、父さんが負け惜しみ垂れ流して終わることだってできたんだから。全ての決定打になったのは、ストラス、貴女のぶつけてくれた言葉だった」 「それは、良かったです。特に取り柄もない私が役に立てたなんて。一番心配だったことが、晴れてよかったです」  そんなに、卑下することなんてないのに。エンゼルはそんな風に感じていた。恐れで固まってしまった自分に決意をさせてくれた恩人だ。  それでこそ、友なのだ。 「素晴らしい友に出会えたと、私は……ストラスは、そう思います」 「やっと。そう言ってくれたのね」 「えっ?」  何がどう、やっと、なのだろう。その疑問がストラスの心を掴んで、離さない。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加