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Fünf:Neue Bühne
【あの夜】
「決起した、あの日。私がふて寝している間、アイリアとストラスが同じように、ベッドの前で二人だけになっていたわね」
ベッドの横に転送されたエンゼルは、今までにないくらい、安らかな様子だった。心の底から、安心しているようだった。
「ああ、そういうことですか」
「まあ、そういうこと。ここで、しっかりと、私達が思っていることを、ちゃんと伝えたいの」
ゆっくりと、近くにあった椅子を持ってきて、アイリアの寝顔を眺めるかのように二人で座る。そして、ストラスから、話を始める。
「私は……役に立てましたか?」
「もちろん。あれが無かったら、父さんが負け惜しみ垂れ流して終わることだってできたんだから。全ての決定打になったのは、ストラス、貴女のぶつけてくれた言葉だった」
「それは、良かったです。特に取り柄もない私が役に立てたなんて。一番心配だったことが、晴れてよかったです」
そんなに、卑下することなんてないのに。エンゼルはそんな風に感じていた。恐れで固まってしまった自分に決意をさせてくれた恩人だ。
それでこそ、友なのだ。
「素晴らしい友に出会えたと、私は……ストラスは、そう思います」
「やっと。そう言ってくれたのね」
「えっ?」
何がどう、やっと、なのだろう。その疑問がストラスの心を掴んで、離さない。
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