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【迎え】
「オイッス! 迎えに来てやったぜ!」
国立魔法高校一行を迎えにきたリムジンには、フォイエルが乗っている。彼は何をしていたのかというと、招待されなかったことを不服に思いながら故郷で年を越しつつ、この迎えに同行する話をつけていた。
「ああ、そういや貴方、居なかったわね」
「おいエンゼルさんよぉ! 俺はお前の中でその程度の存在だったのかよ! 悲しくなるなァ! ……で、アイリアと校長先生は?」
この場に来るはずだった人物が居ないことに戸惑うフォイエル。目を閉じてリイラが首を横に振るので、フォイエルは早とちりして嫌な想像をする。それを察知できるのは、やはり付き合いの長いニルヴだ。
「いや、君の思っているような感じじゃないと思うよ。色々あってね、一時的に意識を失っているという感じなんだ。意識が戻り次第、校長先生が連れ帰るってさ。それまで、校長先生も滞在する」
「何があったんだ?いや、こう聞いても、お前が伏せることはそう聞き出せないもんな。しょうがない、待ってやらないとな」
そんな友人同士、介入しがたい会話を少し遠くで聞きながら、エリアスが遠慮がちに初めて会ったときのことを詫びる。
「フォイエル君。あの時は、すまなかったな。あれがわが校の校風と言えばそれまでだが……」
「あのー、何の話してるのか分からんのだが?」
「そうか。ならいい。僕も気にしないことにする。きっと済んだ話ということになるからな」
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