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「クソなものは仕方ないでしょう。そう思われるのが悪い。違いますか?」
「……言ってる事自体には同意できるのが何とも言えないな……」
全くもって、苦労人である。彼は何か出番がある度に、これからも苦労するだろう。話していて疲れる相手ばかりが知り合いになる。国立魔法高校職員という優れた肩書きを得ることで、何か大事なものを喪失しているように黒先生には思われた。
「ところで、先生は今までうちに来たことってありましたっけ?この学校の職員は毎年のように招待してますけど」
「無いぞ!だから予告されたときには喜びで思わず呆然としたってもんさ」
嘘である。
本当は、招待基準があまりにも意外かつ理不尽かつ雑だったために呆れていたのである。トイフェル夫妻の好み。主に当主の判断によるものである。つまりは、黒先生はアリエル・トイフェルのお気に入りではなかった、ただそれだけである。
ちなみにこの基準についてはエンゼルは知らされていないが、勘付かれている。そして父親は承知だが、母親は鈍感で気付いていない。
「それはそれは。ありがとうございます。当日はどうか心ゆくまでお楽しみください」
「ああ、いい思い出になるといいな!」
その「いい思い出」というのは、皮肉になる。黒先生は確信していた。絶対そうだと思った。
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