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変な人だな、と思いながらフォイエルはドアを開け、奥の方に入る。隣に座ったのはリヒト兄妹。
「それで、楽しかったんです?」
「どうだかね。俺はいつも行ってるから、特にそういった感じには……ああ、でも今年は特に、思い出深いものにはなったなあ」
「へぇー、そんなだったら俺も参加したかったよなぁー。どうして俺だけ……しかもあんな風な扱い……うう……」
気分が沈んでいくフォイエルに、珍しくリイラがハッキリと喋る。
「来ない方が、良かったと思う」
「え? いやリイラ、いくらなんでもそりゃねーぜ。思い出作り、参加したかったぞ? 羨ましい限り」
「足手まといだった。私もそう」
流石のフォイエルも、それがかなり大変なことでありそうなのは察することができた。なのでこれ以上、追及はしない。
それよりも、グループから離れている場所に居る黒先生。彼が言っていることが、妙に気になる。
「全く、勝手になんてことをしてくれるんだ、アイリア・トレーツという生徒は。校長先生に、後から色々聞いておかねば……」
何を言っているのか分からなかったが、それを気にしている者も、ほとんど居ないように見えた。だが、ニルヴだけはこの発言に耳を傾けていた。そして、誰にも聞こえないくらいの声量で呟く。
「やはり、話に聞いていたのは……」
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