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【覚醒】
「んん……ん」
1月3日。アイリアはようやく目を覚ました。最初に見えたのは、知っているが、慣れてはいない天蓋。そして、よく見た顔。茶の長い艷やかな髪に、深く透き通った青い目。
アプフェルドルン校長、その人だ。
「目が覚めましたか。随分と待たされました。きっととても長い夢を見ていたでしょう。どこを、彷徨ってましたか? いや、この質問に意味はないですからね、忘れてもらって構わないですよ」
「……長い夢……そのほとんどは、闇に潜っていくような、怖くて、光がどっちなのか探し求めて、もっと分からなくなって、そのうちに、声が聞こえて、それと話して。それからは、嘘のような、光の世界に居て、そして……ここに戻ってきたんです」
それを聞いていた校長の表情は、「なるほど」と言いたげな表情とは、微妙に違うもの。「だろうな」とでも言いそうなものだ。
「アイリアさん。目覚めて早々で悪いですが、目覚めて早々だからこそ、一番大事なことを教えようと思うんです。あの日の……もう3日前になる日、あなたがやったことについての説明を」
3日も前と聞き、自分の荷物を探すアイリア。そして見付けた携帯電話を確認する。1月3日。倒れた時並に顔が青ざめる。
「ええ……あたし、どんだけヤバいことしてたんだろ? 闇魔法? 裏術式? 重くない?」
明らかに落ち込んでいるアイリアのことには構わずに、校長はそのまま重大なことを言い始める。
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