18人が本棚に入れています
本棚に追加
【遥か南、広き砂漠にて】
何もない、人が足を踏み入れることもない、広大な砂漠の真ん中。突如としてそこに、黒髪の少女が一糸まとわぬ姿で現れた。
少女は立ち上がり、北の方角を見つめる。
「ついに来たんだね、この時が。久しぶりに会えるのが楽しみだよ。恐るべきボクの、愛すべき私の、可愛い可愛い教え子……でも、こんな格好じゃあ会えないかな。いい具合の服を取り寄せとかないと……」
そう言って指を鳴らすと、真っ黒で、フリルがふんだんにあしらわれた、魔法少女のような装いに変化する。髪型もツインテールになり、可愛らしさを強調したデザイン。
「うんうん、これくらい可愛い服を着ていけば問題ないね。こんなに可愛いものがあるなんて、文明の進化は凄いなあ。人類は素晴らしいよ、やっぱり」
そして歩き始める。どれくらい歩けばいいのか、彼女は知らない。しかし、その方向でいいのだということを、ちゃんと理解している。その方角に会うべき人が居ると知っている。
「それにしても。キミはいつも、ずっと7番目に選ばれるね。ボクと縁がある時も、ない時も、ボクでないボクと、縁があるその時も……なんでだろう。幸せを呼ぶ数字だからなのかな?」
考えるために、少し足を止める。しかし、またすぐに歩き始めた。
「考えても仕方のないことか。ボクはただ、彼女達のための、希望であることだけが役割だからね」
最初のコメントを投稿しよう!