Fünf:Neue Bühne

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【遥か南、広き砂漠にて】  何もない、人が足を踏み入れることもない、広大な砂漠の真ん中。突如としてそこに、黒髪の少女が一糸まとわぬ姿で現れた。  少女は立ち上がり、北の方角を見つめる。 「ついに来たんだね、この時が。久しぶりに会えるのが楽しみだよ。恐るべきボクの、愛すべき私の、可愛い可愛い教え子……でも、こんな格好じゃあ会えないかな。いい具合の服を取り寄せとかないと……」  そう言って指を鳴らすと、真っ黒で、フリルがふんだんにあしらわれた、魔法少女のような装いに変化する。髪型もツインテールになり、可愛らしさを強調したデザイン。 「うんうん、これくらい可愛い服を着ていけば問題ないね。こんなに可愛いものがあるなんて、文明の進化は凄いなあ。人類は素晴らしいよ、やっぱり」  そして歩き始める。どれくらい歩けばいいのか、彼女は知らない。しかし、その方向でいいのだということを、ちゃんと理解している。その方角に会うべき人が居ると知っている。 「それにしても。キミはいつも、ずっと7番目に選ばれるね。ボクと縁がある時も、ない時も、ボクでないボクと、縁があるその時も……なんでだろう。幸せを呼ぶ数字だからなのかな?」  考えるために、少し足を止める。しかし、またすぐに歩き始めた。 「考えても仕方のないことか。ボクはただ、彼女達のための、希望であることだけが役割だからね」
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