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だから、この秋からの出合いは、とても嬉しかったのだ。対等に、皆が受け入れてくれる。誰もそれを止めようとはしない。
アイリア・トレーツ。ニルヴ・シュテルノ。この二人は、特にエンゼルにとって大事な存在になった。
アイリアは純粋だった。エンゼルが怒ると素直に怖がった。悩むと素直に心配した。嬉しい時にはエンゼルよりも嬉しそうに笑っていた。それが時に不快だったこともあったが、気遣いを忘れることもなかった。文字通り一日中隣に居たとしても、快適なことさえあった。きっとこれが、本物なんだと、エンゼルはそう感じる。
ニルヴは優しかった。兎にも角にも。言葉の一つ一つが、馴染む。相性という見方をすれば、きっと一番だ。色んなことが、彼には見えている。そう思えた。エンゼルが最も嫌う無責任さえも、彼女を傷付けなかった。
いいところだと思う。本当に、本当に。だけれど、ずっとは居られない。
自分の思うように進めるだろうか。それとも、戻されてしまうのだろうか。あの束縛の中に。それは受け入れられない。
そのために、認めてもらいたい。これが素直なエンゼルの思いである。自由が欲しいという思いを。誰にも侵されない形で。
その機会が来るのを、桃色の令嬢は待ち続けていた。
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