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「……なんかこれ以上やりとりしてても多分疲れるだけね。それに24時間普通に続けてきそうな気がするし……いいわ。入って」
入口を解錠して、通話を切る。そこからエンゼルが頭を抱えるまで、少しの間も無かった。
「エンゼルのお母さんって、ああいう人なんだね……」
「ええ。なかなかクソ親よ」
こんな酷い言いようだが、別に親子関係が険悪というわけではない。母との関係なら、むしろ良好である。父と多少ギスギスしている程度だ。
もはや何にでもイライラするのだから、イライラするくらいで関係は悪くならないのである。
「親御さん悲しまない?」
「親のことは昔っから今みたいに罵倒してたわよ。大概の子供はそうでしょ。それともアイリアくらいピュアな性格だとまた違うのかしら」
「え、えぇ〜……」
アイリアの顔が青い。あまり考えられないことだったようだ。アイリアは分かっていないのだ。親など、子に理不尽を平気で与えるものだと。
最上階であるとはいえ、そこまでアリエルが到着するまで時間はかからなかった。ドアを開けるなり、アリエルは愛する一人娘に抱きついた。
「おっじゃましまぁす! エンゼル元気だった?」
「うわあああっ! 放せっ! 放せえええええ!」
横から眺めているアイリア。彼女に普通の親子とは何かというのは分かっていないが、これは絶対違うと思った。
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