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「アイリア。年末年始はうちに来なさい」
「エンゼ……ル? ちょっとどういうこと……?」
「……読め」
エンゼルはアイリアに招待状の封書を若干雑に手渡す。アイリアはそれをエンゼルの目の前で読み、目と口が力が抜けたように開いている情けない表情を晒した。
「そーゆーこと。私は母さんと話があるから、アイリアは好きなようにしてて。自由行動」
「あれ? エンゼル? ちょっとちょっと、アイリアちゃんどうするのよぉ」
母の言葉に構わずエンゼルは手を引っ張って部屋から出る。そして、寮からも駆け足で出ていった。
一人になったアイリアは、興奮気味にベッドの上で悶え続けており、特に言うことはなかった。注目すべきはエンゼルの動向である。
「あの、エンゼル? どうしたの?」
「どうしたも……こうしたもあるかぁっ! どーいう風の吹き回し!? 黒先生、校長先生、リヒト兄妹、副会長さん……ここはわかるけど、何を思ってアイリアとニルヴを!? 父さん、こういうの許すの!?」
「んー、確かに思いついたときはそう思ったわよぉ。でもせっかくエンゼルのお友達なんだからって、許させた。頑張ったんだから褒めなさいよぉ」
開いた口が塞がらなかった。エンゼルの父親は思想が厳格な上にプライドが高い。いくら自分の友という関係でも、一般庶民とも言うべき二人を招待できるとは思っていなかったのである。
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