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僕の世界
都合の良いお伽噺に、夢を見ていた。
僕の身体の中から出て行った全ての気体は、啜り泣きやざわめきの中に溶け出して、滲んで消えていく。
まあるい木の音がする。被せるように耳朶を揺らすのは、低い呪文のような言葉の羅列。
何て言っているのかなんて、分からない。分かるわけがない。
例え、文字として目の前に在ったとしても、それの意味を理解する事など出来ない。
だって僕は、これが夢だと思っている。これは夢だと思っている。夢に違いないと、思っているのだ。
早く醒めろ、お願いだから。
ぎゅう、とこぶしを握り締める。ズボンはとっくに皺になっている。
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