第1章

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 そして夕方。学園は明日から夏休み。その手前でどうして夏祭りなのか。あーあ。  そう思って、さらに私は、祭りに行くぎりぎりまで大変な事を忘れていた。  約束の午後5時に着くよう部屋を出た。  祭りには宮崎財閥の子と青山財閥の子もいた。さすが美穂さん。集めたメンツもかなりのお嬢様。  2人は浴衣姿だった。その横に立っているピンク色の柄の入った浴衣を着た美穂さんも。  よく似合ってる。西洋人形のようだ。  着てるの浴衣だけど。  私はというと。 「あ、春香さーん! こちらです……え?」 「ごめんなさい。ちょっと遅かったかな」 「い、いえ。それは構わないのですけど……。そのお姿……」  そう。私は普段着のままだ。美穂さんは小首を傾げてため息を吐く。 「あの浴衣、お気に召しませんでした?」 「ああ! 違うの違うの! 私……浴衣の着方わかんなくて」  これは本当だ。
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