第1章

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 鬼が刀を構える。真横に振ると、いとも簡単にタクトが飛んでいった。  絶体絶命のピンチ。涙目になってきた。  ああ、私の人生もここまでか――。 「オニダマをよこせ。なぜ変身しない?」 「へ?」  見た目とは違う穏やかな声。変身? オニダマ?  ふと自分の手を見てみると鋭い爪じゃない。肩までの髪を見ると赤色じゃない。  力を入れて変身しようと思うけど。 「変身……できない」  どういう事?  顔を上げると鬼が刀を背中の鞘におさめていた。私を殺す気じゃないの?  鬼の意図がわからない。
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