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鬼が刀を構える。真横に振ると、いとも簡単にタクトが飛んでいった。
絶体絶命のピンチ。涙目になってきた。
ああ、私の人生もここまでか――。
「オニダマをよこせ。なぜ変身しない?」
「へ?」
見た目とは違う穏やかな声。変身? オニダマ?
ふと自分の手を見てみると鋭い爪じゃない。肩までの髪を見ると赤色じゃない。
力を入れて変身しようと思うけど。
「変身……できない」
どういう事?
顔を上げると鬼が刀を背中の鞘におさめていた。私を殺す気じゃないの?
鬼の意図がわからない。
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