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あいつは私の居場所なんてすぐにわかってしまう。
そして、私もあいつが近くにいる気配がわかる。
あいつの気配を感じ取ってすぐ、私は友達から離れた。祭りの行われていない森の奥深くへと走る。
ザザザと風に吹かれただけでは不自然な音が聞こえる。
木と木の間を駆けている。
「はぁ……はぁ……!」
ザッと音が鳴って、私の足元に暗い影が落ちる。
振り向けば大きな刀を構えた悪魔――いいや、鬼が。
冷淡な表情を浮かべ、降りてくる。
私も態勢を立て直し、力をほどく。
鬼としての力を。
この身に宿された力は、目の前に迫る鬼と大差ない。
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