第2章

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「待って! 私達あなた達に危害を加えようとしてるんじゃ……!」  聴く耳もたず、というか言葉が通じないので宣戦布告と取られてしまったようだ。  住人の1人が刀を両手に掲げ、迫ってきた。  鬼が刀を抜く。  闘うつもりなんてない。  ただ情報が欲しいだけ。  だけどーー言葉が通じない。 「お前、名前は?」  鬼が尋ねてきた。 「え? 春香……」  こんな状況で自己紹介って。 「そうか、ハルカ。俺はタイガ」  鬼が住人の刃を受け、こちらを見た。 「お前は俺が守る」  トクン、と心音が。  ち、違う。この鬼は私の中にあるオニダマが欲しいから守るなんて言った。きっとそうだ、そうに違いない。  何焦ってるんだろ……私……。
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