第2章

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 森の中を歩いていると、どこからともなくフィオが現れた。 「えへへー! 人間に見つかるとやっかいだから」  という理由でずっと隠れていたらしい。  パタパタと鬼の方へ飛んでいく。 「フィオはフィオって言うんだよ! あなたは?」 「……タイガ」  ぶっきらぼうにタイガが答える。  妖精嫌い?  気にした様子も見せないフィオは今度は私の方へ飛んでくる。 「タイガはねー、タイガって言うの。あなたは?」 「春香だよ。さっき自己紹介した」  闘ってる最中だけど。  とか思ってると、フィオが両手で頬をはさみ、ムンクの叫びのような表情をする。 「フィオ……役立たず……」 「あ、あ! この先に何かあるのかなー? フィオなら知ってそうだなー?」  パァとフィオの顔が明るくなった。 「この先にはあのお方がいるの! ついて来て!」  あのお方って誰だろ?
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