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ずっと走っていくとお寺が見えた。
ここら辺りはもうほとんど祭りの明かりから遠ざかっている。
あるものといえば月の明かりで、それ以外は暗く、虫や鳥の鳴き声が聞こえた。
「あっ」
お寺の方へ目を奪われていて、何かに足を取られてつまずきそうになった。
転んでしまう、そう思った瞬間背後に気配を感じた。
しまったと思って振り向くと、月明かりに相手の顔が見えた。
長い髪を1つに結わえた黒髪。
褐色の肌に、本来の白目は赤く、縦に裂けた瞳孔は、黒。
大きな牙が口からはみ出ている。
相手の手が私の方へ伸びる。
そんな……。殺される――!
そう思った時だった。
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