第1章

2/13

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
 鬼もなぜか昼間は現れない。夜行性なのか知らないけど、それはそれで結構だ。  だから、日が暮れるまでにやれる事はやっておく。  今朝もいつも通り、白と紺の夏の制服を着て、焦げ茶色の靴をはいて部屋を出た。  私は今、某県の実家を離れ、少し寂れた町で1人暮らしをしている。  家族に迷惑はかけたくないし、1人の方が気楽でいいからだ。  マンションを出て、少し歩いたところで黒塗りの乗用車が現れた。  窓が開き、見慣みなれた顔が微笑んでこちらを見ていた。 「おはようございます。春香さん」
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加