第1章

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 ゆったりとした口調でその人は言った。  私もにこっと笑って挨拶を返す。 「おはようございます。美穂さん」  いつも通りの朝だ。  美穂さんはいつも私が部屋を出たのがわかるかのようにちょうど良く現れる。  そして、車に乗せて学園まで連れていってくれる。とても優しい人だ。 「ふー。涼しい」  夏も真っ盛りなこの季節。学園まで歩くと30分はかかる。クーラーのきいた車の中は極上のオアシスだ。  いつも一緒に連れていってくれるのはとてもありがたい。春夏秋冬、どんな悪天候でもだ。感謝しかない。  でも。  今日だけは勘弁して欲しかった。  
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