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どうしよう。
私、めちゃくちゃ嬉しい。
それから、
めちゃくちゃ今里さんが好きだ。
そんなのとっくに分かってたことだけど、今、もっともっと、もっと、今里さんを好きだという気持ちがあふれてくる―――――それはもう、無制限に。
私一人だけでは抱えきれないほどに。
「意味、分かったみたいだね」
「あ……」
にっこりと確認してくる今里さんに、私は止まらない赤面で頷いた。
「………はい」
すると今里さんはホッとしたように「よかった」と言って、
「じゃあ、これで仲直り…でいいよね?」
冗談っぽく笑った。
”仲直り” なんて、まるで小さな子供のケンカみたいに聞こえて、私まで笑顔がうつってしまう。
自分に自信がないとか、今里さんが私に嘘ついて秘密を作ったこととか、
私の心を占めていたものがすべて消え去ったわけではないけれど、
それらを覆って余りある気持ちが、今確かにここにあるから。
私は、今里さんがすごく好きだから。
仲直り……それは私もぜひお願いしたい想いだ。
「ほら、笑ってないで、仲直り、しよう?」
焦れた今里さんが催促してくる。
私は、そうですね……そう答えようとしたけれど、
近付いた今里さんの影に、またもや簡単に捕まってしまう。
そして、もう一度抱きしめられるのかと思いきや、今里さんの長い指が私の髪をかき分け、その手のひらが後頭部を捉えたとたん、
キスをされていた。
デート中、または仕事終わりに車で送ってもらったとき、
今までにも何度もキスされたことはあった。
でも社内でしたのなんてはじめてで、
しかも、今までと違って今日のキスは――――
唇の隙間から、彼の想いが入り込んできては私をかき回すような、熱い、熱い口づけだったのだ。
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