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チチチという鳥の声で目覚めると窓から明かりが差し込んでいた。背中があったかいと思ったら、ソウタさんに後ろから抱きつかれて腕枕されていた。腕枕ってずっとしてると結構腕が痛くなるよな。そっと起こさないよう絡まる腕を外してベッドを降りて伸びをする。
窓際に昨日座らされた椅子が置いてあった。
……単体でおいてあると無駄にお洒落感がある。そっと目をそらす。
よく寝たせいか頭もすっきりして体調もいい。ソファのとこでテレビをつける。7時40分。普段の休日よりだいぶん早い。まあ昨日の昼からずっと寝っぱなしだし。
テレビから流れる昨日1日の出来事を見るともなしに見ているとソウタさんが起きてきた。俺の頭にぽんと手を置いてからソファを通り過ぎ、冷蔵庫を開く。
「コーヒー飲む?」
しばらくするとカップを2つ持ったソウタさんが隣に座って心配そうに俺を見る。コーヒーのいい香り。
「体調どう?」
チラリと見えた歯にふらふら吸い寄せられてキスをした。
「すっかり元気」
一言答えてまた歯に舌を絡める。
「なんでこれで恋人でダメなのか理解に苦しむんだけど」
「だって好きなのは歯なんだもん」
体とかはもう無視する。キスしてれば見えないことを学習した。俺の恋人は歯。あれ?
「今日はデートとかする?」
「しないって。昨日の仕返しする」
「仕返し」
「昨日は酷かった。ほんと酷かった」
「……ごめん」
「歯を見にきたのに全然見れないとか意味わかんない」
「え、そこ?」
「今日は俺が歯を見る日なの。骨は触っててもいいけど齧るのは俺がいいっていった時だけ、わかった?」
そっと頭を引き寄せられてキスされる。唇だけの普通のやつ。
「ほんと嫌われてなくてよかった。大好き。俺、今は骨賢者だから大丈夫、見てるだけで尊い」
「なんだそれ」
俺はゆっくりソウタさんを押し倒してキスした。仕返しの唇だけのやつ。
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