歯ヲ齧ルの２

座面がもの凄く柔らかい椅子に座らされて、背もたれの後ろで手首を拘束された。椅子はふわふわすぎて、なんだか落ち着かない。背もたれは直径1センチ程度のパイプで作られた細い長いＵ字形のフレームになってる。座面に近い方から肩甲骨あたりまでフレームとフレームの間は幅5センチくらいで、中が抜けていて直接背骨部分にさわれる。肩甲骨を過ぎたあたりで頭をもたれかけられるようにフレームは大きくＵ字形に外に広がって、そのへりの部分だけフレームに沿ってクッションがついてる。
フレームはチタンかなにかで作られているのか、背中や拘束された手が触れても全然冷たくない。というか柔らかく背骨を支えるような形状のせいか、拘束されているのに肩に窮屈さがない。
デザイナーズといえばそう見えるけど……ソウタさんの嗜好がダイレクトに反映されすぎていて特注な気すらする。俺のために買ったっていうのがボソッと聞こえたし。

なんで背もたれがあるのに背骨も肩甲骨も自由に触れるんだ。さっき尾てい骨から頭蓋骨まで一直線に舌でゆっくり舐め上げられて、今は背骨の形を指の腹で確かめられながら歯を齧り合ってる。抵抗できないままソウタさんの歯に齧られる。これはこれでなんかすごい興奮する。
頭は柔らかなフレームの湾曲に押しつけられて動かせないし、両腕を纏めて抱き竦められているから動けないし、ソウタさんが太ももの上にまたがって座ってるから足が動かせない。全身を拘束されてるみたいで口だけが動く。あぁ、ソウタさんの歯。すごくいい。舌が絡まり歯を舐め合う。カチカチあたる感触がたまらない。
ソウタさんの体重もまとめて座面は深く沈み込む。柔らかすぎだろ。俺よりガタイがいいはずなのに細めの女の子を太腿に乗せたときくらいの体重しか感じないぞ。
ソウタさんの歯の形を１本1本確かめるように舌で弄る。記憶の中で焦がれた歯。たまらない。俺の自由にしていい歯。1週間ぶりの歯。