歯ヲ齧ルの2

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キストモになった日の翌日、目を開けたら膝枕されて顎を撫でられていた。一瞬状況が分からなくて混乱して、おはようと笑いかける歯を見て思い出して赤くなって、恥ずかしくて体ごと反対側を向くとテレビでニュースが流れていた。時刻表示を見ると午前11時。 そうしているとこれ幸いという感じで、横をむいた俺の耳の裏の頭蓋骨とか首の骨に沿って肩甲骨の背骨側のラインとかがゆるゆると撫でられる。 「お腹空いてる? 朝っていう時間でもないけど空いてるならトーストとか焼くけど」 「寝起きは食べれないから大丈夫」 「そう? わかった」 そう言ってまた肩甲骨に沿って肩側に回ったソウタさんの指は肩の骨の形を確かめるように俺を撫で回す。骨に沿って軽く押される感触がマッサージみたいでちょっと気持ちいい。 でもなんか沈黙が続くと変に緊張してきた。 俺、これどうしたらいいんだろう。男に膝枕されてるってどうなんだ? でもソファは柔らかく沈み込んでて、膝の高さもちょうどいい。 顎を持たれて上を向かされ、軽く歯を当てるキスをする。 「今日は午後からでかけないといけないんだ」 「そう」 「そんな残念そうな顔しないで」 「や、全然残念なわけでは」 ソウタさんは白い歯を見せながらニタニタ笑う。 揶揄われてるのかな。 「来週土日は休み?」 「まあ、一応」 「じゃあ土曜は朝からいっぱいしよう?」 「えっ? いや、ちょっとそれは」 「キスのことだよ。ふふ、なんか期待した?」 カリカリと指が胸骨をくすぐる。 絶対揶揄われてる。 洗濯物はすっかり乾いていた。 着替えてLIMEを交換して、玄関口で軽く歯を齧るキスをして別れた。 変な日だった。
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