紅い夢

2/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
いつもの日常が終わる。シナリオのような毎日が終わろうとしている。 そんなことを思いながら、赤く染まる空をぼうっと眺めていた。 「雪那ーーーーっ!!!」(ドカッ!!!!) 別世界にトリップしていた僕を現実に戻したのは、背中に突っ込んできた少年だ。 (いや、同じ歳なのに少年もおかしいか・・・。) 「霧夜・・・何回言ったらお前は僕の背中に突っ込んでこなくなるんだ?」 「車と同じで、人も急には止まれないんだよ〜。」 “あはは”と笑いながら、霧夜は僕の横に並び歩き出す。 「ゆっくり歩いてくれば、そんな事にならないだろうが・・・。」 「だってー・・・あっ!!!雪那!!飛行機雲!」 霧夜は人の注意を気にもとめずに、描かれた線を見て”綺麗だねぇ”なんて言いながら空を見ている。 「・・・・・はぁ。」 今の霧夜に何を言っても無駄だと思った僕は、霧夜をおいて歩き出した。 「お?雪那??待ってよ〜〜!」 小さい頃からずっとこんな平凡な毎日を送ってきたけれど、最近何かが崩れてきている気がする。 僕達の知らない所で・・・少しずつ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!