紅い夢

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「はぁっ・・・はぁっ・・・」 ざぁぁ と雨が降り続く中、僕は目覚めた。 時計は夜中の2時を指している。 気温が高いわけでもないのに、身体が少し汗ばんでいて気持ちが悪い。 汗ばむ理由は・・・・さっきまで見ていた悪夢のせいだ。 そう、とてつもなく最悪な悪夢を・・・。 赤く染まる掌。 掌だけではない。自分の身体に視線を向けると、身体中が赤い。 自分が立っている場所も、そして足下に横たわる人も・・・。 足下の人が誰だかなど、確かめなくてもわかる。 赤く、紅く染まった身体。 現実に戻った今でも、思い出すと吐き気がする。 ・・・そうだ。 本来であればそんな状況にいれば、不快感を抱くことが普通だ。 けれど、夢の中での僕は不快感ではなく高揚感しかなかった。 その感情を思い出しただけでゾッとする。 僕はその感情や感触を忘れるために、無理やり眠りの世界へ戻った。
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